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かの有名な伊能忠敬は、家業を息子に譲り隠居してから、江戸に出て、天文学を学び、56歳で測量の旅に出た。そして17年の歳月をかけて、現在でも通用する立派な日本地図を作った。また、三越の前身、越後屋を繁盛させた三井高利は、52歳で故郷三重県松坂の店をたたみ、江戸に出て、小間物屋を開店し、一気に豪商にのし上がった人である。

彼らが言うのに、隠居してからが本当の人生だと。

サラリーマンには、いつかは退職の日が来る。その日から「もう一つの人生」が始まる。長寿時代となった今日、残された人生を如何に有意義に過ごすか、この問題こそ人間として生れた課題でもある。

いずれにしても、仕事する場、研究する場を持つことが、健康を維持し、「もう一つの人生」を楽しむ原点だと思う。
(辻浦賢「もう一つの人生を楽しむ」より)




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